名大名誉教授・森英樹氏の記念講演に71名
2014年4月29日に,ひだ法律事務所友の会設立総会を開催しました。
記念講演で,森教授は,日本国憲法の原文(英文)では,生命,生活・暮らし,生存のいずれも「LIFE」(独語でLeben)であり,ヨーロッパ圏では,「LIFE」とは,単に生物的に命を長らえるという生存の意味だけでなく,理不尽に命が奪われることなく,人間として人間的な暮らしをすることを一体的にイメージする言葉であると指摘されました。
記念講演で,森教授は,日本国憲法の原文(英文)では,生命,生活・暮らし,生存のいずれも「LIFE」(独語でLeben)であり,ヨーロッパ圏では,「LIFE」とは,単に生物的に命を長らえるという生存の意味だけでなく,理不尽に命が奪われることなく,人間として人間的な暮らしをすることを一体的にイメージする言葉であると指摘されました。
また,憲法前文の「恐怖と欠乏から免れ,平和のうちに生存する権利」というのは,原発の危険から免れることも含んでいると話されました。
そして,「9条壊し」と「原発推進」は“根が一つ”=「LIFE」の軽視にあると述べられました。
また,森教授は,原発と原爆も“根が一つ”であることについて,歴史的経緯を丁寧に紹介されました。アイゼンハワー米大統領は,「Atoms for peace」を掲げましたが,核の実用化は原子力潜水艦が最初,すなわち軍事目的でした。ヒロシマ・ナガサキの記憶を薄れさせ,第五福竜丸の批判をかわしつつ原子力開発を続けるために,核の平和利用と称して,原子力開発を進めさせたのです。これに応じた日本政府の政策も,財界誘導,一部の人の利益のための原発推進でした。
これに対しドイツは,早くから「原発」と「原爆」の同質性に気づき,活発な市民運動を経てきた。そして,「Leben」に関する確固たる政治哲学ないし生活哲学をもって,2022年までにすべての原発を廃止するという政策転換をしたといいます。
最後に,森教授は,福島原発事故後に最も劇的に脱原発した国,政府は宣言していないのに,1基も稼働させず脱原発している国は,日本である。政治家でも官僚でもマスコミでも外圧でもなく,原発反対の民意がそうさせたのだと紹介し,この事実としての脱原発を,どれだけ政策転換に結び付けられるかが,ドイツに対比して日本に課せられた使命であると締めくくりました。