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ひだ法律事務所

2016年5月11日水曜日

【ご存じでしたか?】離婚協議中(別居中)の児童手当の受給者変更について


 児童手当は、夫(子の父)を「生計を維持する程度が高い人」として申請し、夫の口座に振り込まれているご家庭が多いでしょう。

 妻が子を連れて別居した場合、別居中の夫の口座に児童手当が振り込まれているのに、夫が「(夫の)口座から引き落とされている保育料と相殺だ」などと言って、妻に渡してくれないケースが散見されます。

 受給者の変更をするには、通常は、現受給者(夫)の署名・押印のある「児童手当・特例給付受給事由消滅届」を提出します。

 でも、児童手当を渡してくれないような夫が、消滅届にすんなり署名してくれるとは思えません。

 なお、婚姻費用が明確に児童手当を含むとの合意がないかぎり、婚姻費用を支払っていれば児童手当を渡さなくてもよいということはありません。

 まれに、夫が婚姻費用から児童手当分を差し引いて支払っているようなケースをみかけますが、児童手当とは別に婚姻費用を請求することができます。


 別居して離婚協議中であれば、現受給者の署名・押印のある「児童手当・特例給付受給事由消滅届」を出さなくても、児童手当法第4条4項に該当する同居者(妻)のみで「児童手当等の受給資格に係る申立書」を市町村役場に提出することにより、妻に受給者資格を変更できます。

 離婚協議中であることを明らかにできる書類として、協議離婚申し入れにかかる内容証明郵便の謄本、調停期日呼び出し状の写し、裁判所の事件係属証明書、調停不成立証明書等を添付します。

 DVにより避難しているようなケースは、女性相談センターの発行する証明書を添付すれば足ります。

 市町村によっては、このような変更手続が周知されておらず、担当者レベルで「消滅届にご主人の署名をもらってきて下さい」などと言われてしまうケースがありますが、諦めないで下さい。

 なお、夫婦関係調整調停には、「離婚」(いわゆる離婚調停)と「円満」(いわゆる円満調停)があるのですが、「円満」の方では離婚協議中だと認められませんので注意して下さい。

 なお、受給者の変更に際し、妻と子の「健康保険の扶養を外すこと」は要件とされていませんので、ご注意下さい!

 お一人で市町村役場へ出向いて断られ、弁護士が役所に説明してようやく変更できるケースもあります(このような役所の対応は問題ですが)。お困りの方は、お気軽にご相談ください。



(漆原)