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ひだ法律事務所

2014年7月8日火曜日

神岡じん肺訴訟、判決がでました。


去る2014年6月27日、第1次三井金属鉱業神岡鉱山じん肺訴訟に第一審判決が出ました!

【じん肺とは・・・・】
 人間の体内には、粉じんを除去する機能が備わっていますが、限界を超えた粉じんを吸入すると、除去しきれない粉じんが肺胞腔内に蓄積され、肺胞壁が破壊され、やがて線維結節ができて、肺胞でガス交換ができなくなります。また、免疫機能によってリンパ腺に運ばれ蓄積した粉じんは、リンパ腺の細胞を破壊して膠原線維を増加させ、リンパ腺の機能を失わせます。これにより、粉じん除去機能が低下するので、粉じんによる肺胞のガス交換機能喪失も進みます。 

 このように、じん肺とは、粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病です。 

 じん肺は、現時点では線維増殖性変化を元に戻す治療法がなく、根治できません(不可逆性)。また、一旦肺胞に取り込まれた粉じんは長期間にわたって線維増殖性変化を進行させ、結節が拡大融合するなど、じん肺は粉じん暴露しなくなった後も進行します(進行性)。さらに、じん肺による肺機能の低下は、全身に慢性的な酸素不足をもたらすなどして生命活動全体に障害を及ぼし、合併症や、他の疾病の治療困難などの悪影響を与えます(全身性)。

 じん肺という病気については、最古の職業病とも称されるように、古くから知られており、鉱山保安法と関係規則やじん肺法の制定により、国家政策として粉じん職場で働く労働者の福祉の増進が図られてきました。

 じん肺法と関係規則、通達等は、じん肺健康診断とそれに基づき決定されるじん肺管理区分を定めて、粉じん労働者の健康を管理しています。管理区分が2以上との決定を受けると、合併症に係る審査等の手続を経て、労災保険給付を受けることができます。


【三井金属鉱業神岡鉱山じん肺訴訟とは・・・・】

 神岡鉱山は、岐阜県飛騨市神岡町にある金属鉱山です。かつては東洋一の採掘量を誇った巨大鉱山でしたが、現在では採鉱されておらず、採掘坑跡にスーパーカミオカンデが設置されるなどしています。

 この神岡鉱山での粉じん労働に従事した結果じん肺に罹患した元労働者達が、雇用主であった三井金属鉱業株式会社等を被告として損害賠償を求めたのが、神岡鉱山じん肺訴訟です。
 平成21年5月に33名、平成22年9月に16名が提訴して、5年に及ぶ裁判を戦ってきました。 

 典型的な企業城下町である神岡町において会社を相手に裁判を行うことはそれだけでも勇気を必要とすることであり、5年という長い裁判の間に、訴訟から脱落する原告もいらっしゃいました。

 何より、不可逆性、進行性の病気であるじん肺は、裁判中も容赦なく原告の方々の命を奪い、遺族が原告の地位を承継した方もいらっしゃいます。

 そのような長く苦しい戦いに、ようやく一区切りがつきました。